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Channel: 妙高山麓発・サラリーマン日記
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文句なしの白銀パラダイス【矢代山地・粟立山(3/22)】

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 今日(3/22)の粟立山(あわだちやま)は、昨日の思いがけない春の寒波のおかげで、最高のコンディションとなり、天候にも恵まれ、充実したツアーとなった。

 粟立山は、妙高市街地の西側、大毛無山の北側にある1,194mの山だ。先週の要山山行に向かう車窓から、矢代山地の山々の連なりを見ていたら、山頂部が真っ白に光っている粟立山が目を引いた。「こりゃ来週、行ってみなければ」と心に決めた。以前から気になっていた山なので、この機会に思い切って単独でチャレンジしてみることにした。

 粟立山は、新潟県の「砂防発祥の地」のきっかけになった山だ。明治35年(1902年)、粟立山の上部で大崩壊が発生。土石流は、万内川を流れ下り、麓の集落に大きな危害を与えた。その後、大正10年から新潟県で初めての砂防事業が着手された。平成15年(2003年)には、万内川にある18基の砂防えん堤のうち、11基などが有形登録文化財に指定されているらしい。

 昨日(3/21)は一日、大荒れの天気で、一日中風が強く、雪混じりの雨が降り続いていた。夜半には風は止み、今朝は朝から上々の天気が広がった。
 車に荷物を積み込んで、妙高市西野谷集落にある万内川砂防公園へ向かう。すると、家で積雪は0だったのに、西野谷に到着すると、積雪は30センチほども。まるで冬に逆戻りしたような光景だ。砂防公園に向かう道の除雪は、中途半端な状況で終わっていて、駐車場へは行けない。
 路上駐車は迷惑になるし、家に帰ろうかなとUターンし、近くにある同じ職場のTさん宅へ。彼はちょうど除雪中で、「車、家の前に止めてもいいよ」とのこと。ありがたや~。厚意に甘え、準備に取り掛かり、朝7時過ぎに出発する。

 雪に覆われた万内川砂防公園は、だれもおらず、トレースもなし。沢音を聞きながら、万内川の右岸に沿って、シール歩行を開始。砂防堰堤が連続する光景を楽しみながら、ゆっくりと進む。
 林道を離れ、大堰堤を目指して平らな大雪原を行く。静かだ。大堰堤は、左側から乗り越して進む。

 堰堤を越え、「さてと、どこからアプローチしようか」と思案するが、正面左の流浜谷手前の崩壊地の左岸の尾根を行くことにする。地形図から予想すると、上部ではかなりヤセ尾根になりそうな気もするが、これを辿っていけば、粟立山の山頂に一番近そうである。「ダメならそこで折り返そう」と心に決めて取り付く。

 左のカール状の地形を観察しながら、一歩一歩登っていく。左側には、雪庇が発達しているので、注意しながら進む。それにしても、見事なカール状地形である。本来のカールは、氷河が削り取った地形のことらしいが、こちらは土石流によって削り取られたものか、それとも山そのものが崩壊したものなのかは分からない。地形図から考えても、土石流というか山の崩壊は、山頂直下から発生したようだ。単純にこれだけの量の土砂が流れ下ったとしても、かなりの量である。当時は想像を絶する災害だったのだろう。

 淡々と尾根を行く。昨日の降雪は、まだサラサラの雪として残っている。右手には、矢代山地の稜線が光っているが、地吹雪が激しそうだ。尾根の先には、山頂または尾根の先端らしき真っ白な峰が輝いている
 尾根は思ったほど狭くならず、勾配もほどほどで歩きやすい。なんとかこのまま行けそうかと思ったら、これが甘かった。雪庇とアイスバーン、急勾配で、一箇所だけスキーを脱いだ。つぼ足と腕力ででなんとか凌いだが、疲れた。山頂が近くなると、地吹雪が強くなってきた。木々には、「海老のしっぽ」がくっ付いている。
 山頂手前の稜線は、またしてもでかい雪庇が張り出して要注意。風で吹っ飛ばされないようにしなければ。落ちたら只事では済まなそう。

 10時40分、念願の粟立山の山頂に立つ。正面には大毛無山が迫力満点にそびえている。海谷山塊や不動山も凛々しくそびえている。南葉山から重倉山、中ノ岳、そして、粟立山に続く稜線は、限りなくたおやかだが、でかい雪庇が大迫力である。
 山頂に到着すると、いつしか風は止んでいた。菓子とアクエリアスで、しばしティータイム。大毛無山に人影は見えず、こちらに延びる稜線も同様だった。ほんとうに静かだ。この絶景を独り占めできるとは、なんと贅沢なことか。
 大毛無山の斜面を観察すると、今日のものらしき雪崩の跡が。あまりゆっくりしてもいられない。休憩の後、下りの準備に取り掛かる。

 11時に山頂から滑降を開始する。山頂から崩壊地側に回り込むが、雲のせいで斜面の凹凸がイマイチつかめない。しばし、日が出るのを待ち、太陽が出ると同時に崩壊地目がけて滑り始める。
 新雪を滑るときに、スキーが奏でる「シュルシュルシュル・・・・・」という音しか耳に飛び込んでこない。なるべく傾斜の緩いところを選んで滑降するが、雪は思っていたよりも安定しているようだ。 それにしても真っ白で巨大なバーンだ。近くにこんなすばらしい光景の場所があったとは、知らなかった。至福の時間であった。

 あっという間にカール状地形の場所にたどり着く。傾斜が緩やかになるが、楽しい斜面はまだまだ続く。あっという間に最上部の巨大な砂防堰堤が見えてきた。もうすぐ堰堤だと思ったら、突然にトラブル発生。クラックの上に新雪が載っていて、これを発見できずに「落とし穴」にはまってしまった。が、はまったのは左足だけで、かろうじて助かった。なんとかスキーを外し、体制を整えて難を逃れた。

 巨大な砂防堰堤を乗り越すと、あっという間に西野谷集落へ。11時45分ごろ、駐車地点へ到着。思っていたよりも、早く帰還することができた。ちょうど家の前で除雪をしていたTさんに感謝し、帰路に就いた。

 粟立山は、文句なしにすばらしい山で、新たなスタンダードになりそうな予感がする。楽しくて快適なツアーであったが、このコースは雪崩などの危険もあるので、やはり時期を選ぶ必要がありそうだ。

〇山行日時  2014年3月22日(土)
〇山行地   7:00妙高市西野谷集落~巨大堰堤~崩壊地左岸尾根(流浜谷手前の尾根)~10:40粟立山~11:00滑降開始崩壊地(カール状地形)の中を滑る~巨大堰堤~11:45西野谷集落
〇メンバー  わたし単独

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